前回はモデルを読み込んで仮の位置決めをしたところまででした。
書き忘れましたが攻撃側のモデルに腕IKを導入しておいてください。
上の記事を参考に……
組技動画の作り方
ここから技の動きを作っていきます。
技の動きの作り方には二種類があります。
① 技の流れ通りに順番に時間の流れに沿って作っていく方法
② 最初に大まかな技ポーズを作り、間の動きを埋めていく方法
どちらが良いかは作りたいものによります。
私の中の判断基準では、
・寝技、関節技、順番が重要な技・・・①
・打撃、相手を投げる、勢いが必要な技・・・②
だと思います。
今回のキン肉バスターは投げ技であり、勢いも重要なので②で作ることにします。
ポーズの作成
最初に極めとなる最終形のポーズを作ります。
今回は当然大股開きのポーズからです。受け側のポーズを作ります。
最初にフレーム操作タブの中の各ボーングループの「+」を押して展開します。
センター、IK、上半身など、足と腕が見えるようにしましょう。
次にフレームを動かします。技が決まるタイミングになりますが、最初は仮で良いので画面にフレームが全部みえるところ(上の画像だと20フレーム)に移動します。
0フレームが見えなくなってしまったら、フレーム操作タブの下の(現フレームと書いてあるところの右)バーを左に動かして見える位置にしましょう。
この20フレーム目に極めポーズを作ります。
まずグルーブボーンを動かし、大まかな姿勢を決めます。
凄いねじれですが気にせず。以下の値にしました。
ボーンを回転させてなんとなくこの辺かなという角度で登録しました。
グルーブボーンはセンターと同じですが、回転のみを行います。ジャンプしたり回りながら移動するときに便利です。
このままだと高さがあっていないので次にセンターを動かします。
Yボーンを動かしてこちらもなんとなくこの辺かなという高さです。
センターはグルーブの反対でXYZの移動のみを行います。回転をグルーブ、移動をセンターで行うことで「回りながら落ちていく」などの動きを簡単に作ることができます。
IKをOFFにする
足がすごい角度になっています。これは足のIKの位置が変わっていないのでそのIKの位置に足関節のボーンが合わせようとしてそうなっています。
普通はこのような場合足IKボーンを動かして位置調整を行うのですが、今回のキン肉バスターでは足IKをOFFにすることにします。
何故なら足の位置ではなく足の角度が重要ということと、投げ上げ・落下の動きの最中に足IKのずれ修正が多発するからです。
「投げ上げられて落ちて行きながら大股開きになる」という動きには、足の角度が動いていくという流れが必要になります。なので足IKをOFFにします。
IKをOFFにするやり方は、
左下のモデル操作タブの中の「左足IK」などと表示されているところをOFFにチェックします。チェック後は右の登録を押します。
上の画面では左足IKのみをOFFにしました。すると足ボーンの登録されている角度(今回は初期位置)になります。
同様にして右足IKもOFFにします。
IKをOFFにすると表示・IK・外観という登録がされます。あとで全体の流れの中で「どこでIKをOFFにしたんだっけ?」というときはここを見ればわかります。
反転したボーンの登録
つぎに足の角度と腕の角度を合わせます。まずは足。
左足を曲げてみましたが、何か不自然です。
その理由は「下半身ボーンが動いていないから」です。キン肉バスターとしては相手を座屈させるようなポーズになるので、下半身も前に曲げた方が良いはずです。
下半身も前に曲げ、左足を少し戻しました。良い感じです。
次に右足ですが、左足のミラーコピーをします。やり方は、
フレーム操作で左足の◇を選択すると赤くなります。この状態でコピーを押し、反転Pを押します。
するとそのフレームに反対側のボーンが逆の角度でコピーされました。便利な機能です。反転Pをすると動く角度が自動で反転して登録されます。
しかしモデル自体がX方向にずれていると変な角度になります。なので利用できるのは最初の極めポーズ作成くらいでしょうか。
足ポーズが決まったら次に腕ポーズを作ります。
モデルの構造は各作者さんごとに違いますが、大抵は肩→腕→ひじの順に角度をつけていくのがよいです。
こちらも片腕を先に作り終わったら反転Pができます。
やり方は、
フレーム操作タブでマウスを左クリックしてドラッグするとまとめて登録したボーンを選択できます。
複数を選択した状態で足と同様にコピー→反転Pとすると、
このように左右の反対側にまとめて反転登録されます。便利。
最後に首と上半身です。
極めポーズですが、参考動画を見てみると少し右手側に身体が傾いていることがわかります。上半身の登録をする際に少し傾けます。
首、上半身2、上半身とX軸で曲げていきます。
そのあとで上半身をZ軸で少し右手側に傾けます。
とりあえず受け側が極めポーズの形になりました。
相手のモデルの位置合わせ
次に同じようにして攻撃側の極めポーズを作ります。
モデルを攻撃側に変更し、まずはセンターとグルーブを決めます。
このとき、全ての親ではなく必ずセンターとグルーブを使って位置合わせします。
センターとグルーブは動画の時間が進んでいくにつれて位置を変えることでモデルの姿勢や動きになるボーンですが、全ての親は全体の動きのベースとして利用したいからです。
全ての親を使って移動するモーションも作れますが、あとから変更したり他のモデルと位置合わせを行うことが困難となります。
センターとグルーブをとりあえず合いそうな位置に持ってきましたが、モデルの腕と足があっていません。
原因は受け側の足と同じでIKによるものです。
攻撃側は「相手の身体をつかむ」「踏み込みなどの動作がある」といった理由でIKをOFFにしません。なのでこのまま、IKで位置合わせを行います。
まずは足です。
わかりにくいですが身体全体が180°回転したため、右足と左足の位置が左右逆になっています。これに注意して位置を決めます。
右足をZ方向に移動してそれっぽい位置に持ってきました。反転Pを行って左足も登録します。
反転Pを行うやり方は先ほど書いた方法の他にもう一つあり、
・動きを登録したボーン(右足IK)を選択している時にボーン操作タブのコピーを押し
・そのまま元ボーン(右足IK)選択中に反転ペーストを押す
といったやり方もあります。
使いどころとしては右足を登録した直後に(何も他に操作せず)コピーと反転ペーストを押して左足も登録する、といった時です。
注意点として、反転ペーストを押した後に登録をしないとペーストされません。私はそれをよく忘れるのであまり使わないです……
これで両足の位置が決まりました。
しかし足首が変な方向に向いています。これはつま先IKが変わっていないので、その位置にいこうと足首が回転しているためです。
こういった投げ技や関節技といった、「歩く動作がほとんどない動き」を作る際、つま先IKは基本的に不要です。むしろ使用すると各フレームでの動きを考えることが多くなるため、OFFを推奨します。
0フレームに戻り、動画の最初につま先IKをOFFにしてしまいます。
0フレーム目では変化は無いようにみえますが、
20フレームに戻ると足首が違和感ない位置になっています。足首のデフォルトの角度になっているためです。ひとまず足首はこれでよしとします。
センター位置が高すぎるので、受け側に合わせます。
参考動画の首の位置を参考にしてセンターボーンのXYZすべてを合わせます。
腕IKを相手の足首を持つ位置にしてみます。左右反転してることを忘れずに。
反転ペーストして左右登録してみました。
ギリギリ届くのですが、ちょっと不自然です。受け側の高さなどが合っていないためです。
受け側モデルに戻り、センターの位置を修正します。
こちらもセンターのXYZをずらして合わせます。
再び攻撃側モデルに戻り、腕を動かしてみます。
なんとかつかめそうです。左手側も反転ペーストしてみます。
……届きません。
原因は受け側のセンターをX方向にも動かしたため、足も追従して移動したためです。
攻撃側と受け側の両方を修正します。
まずは受け側。
足をlocalX軸で回転し、より折れ曲がるようにしました。
左右の足開き角度にlocalZ軸で回転させ、差をつけました。
次に攻撃側です。
少し腕がくの字に曲がるくらいが参考動画的にはよさそうです。
反対側もあわせます。
反転Pしたあとに調整して再登録すると簡単です。
ずれていた足Ikを修正し、下半身を少し前側に曲げました。
極めポーズとして大まかなところはよさそうです。
結構長くなってしまいました。
細かい手先のポーズなどが残っていますが、次の記事に続きます。