前回は首と足を抱える動きまでを作りました。
ポーズとポーズの間の動きの作成
技全体の流れです。
0.相手を掴む
1.相手の左足を取る
2.担ぎ上げる
3.上に飛び上がる
4.上空で固めポーズになる
5.落下し極めポーズ
6.相手を離す
実はこの0.と1.の動きには中間の動きがあります。それは「相手の首を掴み、左脇に頭を入れる動き」です。
参考動画では格闘ゲームということもありこのあたりは何となくで省略されています。ゲーム的にはテンポが大事なので問題ありませんが、せっかくだからこの間の動きを作ってみます。
時間の調整
間の動きを作る際に時間が5フレームしかないので、少し時間を延ばしてみます。
ちなみに、30フレームが動画の1秒です。
時間調整のやり方です。
まず調整するモデルのどちらかに切り替えます。
フレーム操作タブの下にある縦選択の下の二つの入力欄に、時間調整したいフレーム(ここでは0と5)を入力します。
次にその下の拡大縮小ボタンを押します。すると、
このような時間拡大(縮小)率ダイアログが出ます。
フレームの欄が先ほど入力したものになっており、下の3種のチェックボックスがチェックされていることを確認します。
倍率で時間を調整します。
現在5フレームなので、これを20フレームに時間を伸ばしてみます。
ちょうど4倍になるので倍率欄に4を入力し、OKとします。すると、
わかりにくいですが、現在5フレームです。しかし姿勢が変わっています。
これは5フレームに登録した内容が20フレームに移動した為です。
フレーム操作タブを右に送って20フレームへ移動してみると、
最初に20フレーム目に作った極めポーズは35フレームに移動しています。
これは0-5フレームが0-20フレームに変わったため、その分だけ後ろに伸びたことになります。
同様にしてもう一方のモデルへ切り替え、拡大縮小します。
最初に入力した初めと終わりの時間はそのまま引き継がれます。
倍率だけは1に戻ってしまいますので、もう一度4を入力してOKとします。
これで両者の5フレーム目の動きは20フレームに延ばされました。
踏み出す動作の作成
間が伸びたので10フレーム目に相手を掴む動きを入れてみます。
まず10フレームに移動します。
間を補完するような緩やかな前傾姿勢になっています。
これを「左手を伸ばして相手の首を掴む」というものに変えてみます。
まずは受け側に切り替えます。
実際の動きを考えると、技をかけてくる相手に首を差し出すのも不自然です。
なので「ガードを固めたところを掴まれる」という動きにしてみます。
そのため、あまり受け側のポーズは最初の構えから変わらない方がよいです。
そこで0フレームの内容を「縦選択+コピペ」でコピーし、これを変えてガードポーズにします。
センター、グルーブ、両腕~ひじまでを変更し、頭の前で両腕を密着させつつ若干腰がひけた姿勢にしました。よさそうです。
次に攻撃側です。
ためしに左腕IKをまっすぐ伸ばしてみましたが、これでは相手の首に届きません。
そこで「一歩踏み込んで相手の首を掴む」という動きにします。
踏み込む動きを作る前にもう一度20フレーム(前の5フレーム)に戻ってポーズを確認します。
そしてこちらは0フレームです。
両足の位置に注目してください。
首を掴んだ20フレームでは、左足が前に出て、右足が後ろに下がっています。
参考ゲーム動画を見てみましたが、画面が切り替わるポイントなのでこの辺の解釈はあいまいです。
私なりの解釈は、「右足を前に踏み込んで相手を掴み、左足が少し前に出たあと右足を後ろに下がって首を引き込む」と考えます。
そこで10フレームでは右足を大きく前に出して体を前進させつつ、左足は元の位置という風にしてみます。
10フレームに戻りセンターを前に、右足IKを前に、左足IKを0フレームの◇をコピーしました。
左腕IKを伸ばしてみます。
ついでに右腕IKも前に少し出しました。相手の首に手が届きそうです。
ポーズ的にはよさそうなので、10フレームの全ボーンを登録します。
0-20フレームで再生してみます。
足の平行移動と、首の巻き取り方に違和感があります。
0-10フレームで足の動きを修正します。間の5フレームに右足を上げる動きを追加します。
右足IKをY軸のみに上げ、右足首を気持ち上向きにしました。
次に10フレームに移動し、左足の伸びたところを修正します。
左足IKをY軸に少し上げ、左足首を伸びる方向に曲げます。
普通に歩きだすときを想像すると、床から最後に離れるのはつま先です。なので伸び切った形にします。
また5フレームに戻ります。
足首が回転して床にめりこんでいるので修正します。
左足IKをわすかにY軸上げ、足首をつま先が接地してかかとが少し浮くようにしました。
踏み込みはこれでOKとします。
次に10-20フレームの修正を考えます。
まず10-20フレームを倍率2で時間を延ばしました。
15フレームに移動します。
ここに「左足も遅れて前に出て、次の後ろに下がる動作の基点とする」という風にします。
左足IKを30フレームの◇からコピーし、左足首角度を地面と平行にしました。
この左足を後ろに下がるときに基準とします。
20フレームに移動します。
右足、左足を修正します。
右足IKを15フレームに登録した後、20フレームでY軸方向に上げ、左右の足首を修正しました。
足の動きはこれでよさそうです。
ボーンの初期化
次に上半身で相手の首を脇の下に入れる動きを作ります。20フレームに作ります。
少し体を起こして抱える動きにします。そこで上半身、上半身2、首を初期化します。
やり方は、
ボーン操作タブの初期化を各ボーンを選択して押し、登録するだけです。
モーションを作っていると途中で関節などの角度が変な角度になることがよくあります。こういった動きの途中やキーとなるポーズで一度初期化をしてから角度をつけると無理なく動きやすくなります。
左脇を開けるために、上半身・上半身2をZ方向に傾けました。
次に先ほど相手の首を掴んだ左腕を動かします。
輪を作るように左腕IKを動かしました。
受け側に切り替えて首を突っ込むようにします。
同じ20フレームにて上半身・上半身2・首を傾けて脇の中に入るようにします。
一度30フレームに行き、次の動きを確認します。
すると上図のように受け側の左腕を首に回していることがわかります。
つまり30フレームより前で攻撃側は首を相手の脇下にいれなくてはいけません。
同じく20フレームに作ってみます。攻撃側に切り替えます。
先ほど登録した上半身・上半身2・首を傾けてみましたが、ちょっと入らなそうです。
全体的に姿勢を下げることで入れてみます。
センターをY軸下げてZ軸に少し後ろに引き、グルーブを前かがみに少し回転。上半身・上半身2・首をさらに傾けたところ、良い感じに入りました。
動きとして見てみます。
上半身はよさそうです。
最後に相手の左足を取る動きを作ります。
足を取るまでは接地していた方が自然なので、受け側の20フレームに10フレームの左足IK、左つま先IKをコピーします。
攻撃側に切り替えます。
右腕IKを伸ばして掴もうとしましたが、届きません。
この20フレームの位置では上半身の位置を変えたくないので、少し前の15フレームに移動し、受け側に切り替えます。
20フレームの左足IK・左つま先IKの◇を選択し、そのままドラッグして15フレームに移動させます。
この位置なら攻撃側も掴めそうです。攻撃側に切り替えます。
相手の太もものあたりに右腕IKを持っていき登録します。ついでに右手捩も回転させてももに平行にします。
先ほどの20フレームの登録を消すのを忘れずに。
20フレーム、25フレームに右腕IKの位置を引き寄せるように、だんだん膝をあげるように登録します。
30フレームまでの動きを見てみます。
スピードや緩急はともかく、なかなか良い感じではないでしょうか。
長くなりました。
この記事にMMD技モーション動画を作る際に基本的なことを集めたかったのです。
次回は持ち上げてからの動きを作っていきます。
よろしくお願いします。